COLUMNお役立ち情報
産業廃棄物適正処理
無償の引き取りって有価物?それとも廃棄物?知らないと怖い無償引き取りの落とし穴!①
無償での引き取りは有価物か廃棄物か?
会社から出てくる不要物で、無償での引き取りって皆さんはどのように考えますか?
気軽に、無償だから物をあげる感覚で渡してしまえば良いのでは?と考える方も少なくないかもしれません。
しかし、廃棄物処理法はそう甘くはありません!(笑)
例えば、有価物の買取業者に「無償での引き取りはできません」と言われたことや、処理業者に「無償での引き取りなんで、廃棄物ではありません。契約書もマニフェストもいらないですよ」なんて言われたご経験のある担当者様がいらっしゃるかもしれません。
さて、これらのことは合っているのでしょうか。
実は、無償での引き取りは判断が難しく、有価物として扱うと違反となるリスクがあります。無償で引き渡した後、違法な処理や不法投棄された場合、廃棄物と判断され排出事業者の責任が問われることとなる可能性があるからです。
無償引き取りを判断する上で、論点の1つ挙げられるのが『どちらが運搬するか』です。
- ①売却する方が売却先へ運搬する
売却する方が運搬の費用を払っているので、廃棄物 - ②売却先の業者が取りに来て、運搬してくれる
売却先が運搬費をかけてまで引き取る価値のある物として、有価物
上記のように判断される場合があります。
しかし、これも明確に定められているわけではなく、行政の担当者によって見解が分かれます。
必ず排出場所の行政へ確認の上、判断するようにして下さい。
このように、無償での引き取りは非常に判断が難しいのです。
そのため、無償引き取りは廃棄物として扱い、違法に当たらない様に運用されるケースも多いです。
例え数円でも必ず値段をつけて売却するか、処理費を出して廃棄物として引き取ってもらう等、リスクを避けるため無償での引き取りはしないと決めて運用している事業者もいます。
無償ではなく売却した場合、全て有価物となるのか?
題名にある通り、売却した場合全て廃棄物処理法の規制対象とはならないのでは?と思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、ここでも廃棄物処理法は甘くありません!(笑)
以前掲載したコラム≪産業廃棄物処理業者や雑品スクラップヤードの不適正保管による火災が多発!≫にも記載しましたが、有価物か廃棄物かは『総合判断説』を用いて判断します。
この『総合判断説』は5つの判断要素を総合的に判断するので、一概にこうだからこう!といった明確な基準がないのが難しい所です。
その中でも、一番分かりやすい判断要素が【取引価値の有無】です。この【取引価値の有無】を基準にして、有価物として扱うか廃棄物として扱うかを判断している排出事業者や処理業者が多いのです。
【取引価値の有無】をざっくり言えば、
売却金額が引き取りの運搬費より上回り、売却した側がお金を受け取っていたら有価物。
売却金額が引き取りの運搬費より下回り、売却した側がお金を支払っていたら廃棄物。
となります。
次回のコラムは、この【取引価値の有無】について、もう少し詳しく書いていきたいと思います。
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