COLUMNお役立ち情報
産業廃棄物適正処理
産業廃棄物処理業者や雑品スクラップヤードの不適正保管による火災が多発!環境省は雑品スクラップヤードも廃棄物処理法の規制を検討!?
廃棄物の保管と有価物の保管
まず廃棄物の保管について考えていきましょう。廃棄物には、産業廃棄物と一般廃棄物があります。
産業廃棄物は、排出事業者及び処理業者に廃棄物処理法できっちりと保管基準が定められ、遵守しなければ違法となり行政命令の対象となります。
一般廃棄物は、排出事業者に廃棄物処理法の基準はなく※、処理業者のみ基準が定められています。
※各自治体によっては、条例で保管基準が定められている場合があるので各自治体のHPにてご確認下さい。
では、有価物に対してはどうでしょう?
有価物か廃棄物かを判断するには『総合判断説』が用いられ、以下の5つで総合的に判断されます。
1.物の性状
利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上の支障が発生するおそれのないものであること。
2.排出の状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。
3.通常の取扱い形態
製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。
4.取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。
5.占有者の意思
客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。
有価物は廃棄物にはならないため、原則は廃棄物処理法の対象外となり、保管について特に基準は設けられていません。
しかし、第三者から明らかに有価物に見えない場合は、廃棄物として判断される場合があるので注意が必要です。
また、2018年4月に法改正があった『有害使用済機器』については、有価物であっても売却先に保管基準が適用されるので、適正な売却先を選定しましょう。
問題視される産業廃棄物処理業者と雑品スクラップ業者の不適正保管
皆さんもNEWSで目にすると思いますが、近年産業廃棄物や雑品スクラップの保管場所からの火災が多発しています。
過剰保管や雑品スクラップによるコンセントショート等が原因で、何時間、何日間と燃え続けた…なんて事件もあります。
特に雑品スクラップは屋外にて杜撰に保管されることが多く、火災以外にも騒音や振動、汚水流出や崩落等の問題も起こっています。
また、盗難も相次ぎ、環境省は2025年度に不適正ヤード問題を検討するとしています。
中国が固体廃棄物の輸入を禁止した2017年頃からヤードが増加したことも、一つの要因でしょう。
現在は条例で規制している自治体があり、主に関東中心です。
廃棄物処理法では、有価物に対して、有害使用済機器の規制はありますが、それ以外の物に対して規制がありません。
しかし、今後は廃棄物処理法が改正され、有価物である金属スクラップや雑品スクラップ業者に対して新たな規制が設けられるかもしれませんね。
そうなると、スクラップ業者へ売却した排出事業者の責任はどうなるのか?動向を注視していきたいと思います。
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