COLUMNお役立ち情報
産業廃棄物適正処理
排出事業者が処理委託後気を付けるべきポイント!マニフェスト管理と現地確認
①マニフェストの管理
マニフェストを発行した後、産業廃棄物の処理が終わる毎に対応する伝票が処理業者より返却されます。
このコラムでは、一般的な7枚綴りのマニフェストを例にみていきます。
A票 :発行時の排出事業者控え(排出事業者の手元に残る)
B1票 :収集運搬業者控え
B2票 :収集運搬終了後、排出事業者へ返却(収集運搬終了報告)
C1票 :中間処理業者控え
C2票 :中間処理終了後、収集運搬業者へ返却
D票 :中間処理終了後、排出事業者へ返却(中間処理終了報告)
E票 :最終処分終了後、排出事業者へ返却(最終処分終了報告)
基本的なマニフェストは上記のように運用され、最終的に排出事業者の元には『A票、B2票、D票、E票』の4票になります。
この4票の保存期間と返却期限は以下のとおりです。
発行日からの返却期限は非常に重要で、この期限を過ぎると、排出事業者は現状を把握し行政へ報告する義務があります。
マニフェストに関する罰則や行政のチェックは年々厳しくなっており、虚偽記載やマニフェストの保管を怠ったとして、
実際に書類送検されている排出事業者もいるのです。
その度に、処理業者に任せていたと主張する排出事業者もいるのですが、
発行義務やA票への記載義務、そして保管義務は排出事業者にあるため、必ず罰則対象として追及されます。
②現地確認
排出事業者責任を果たす上で重要となる1つが、処理先への現地確認です。まずは現地確認について詳しくみていきましょう。
まず、元となる条文です。
廃棄物処理法第12条第7項
事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない
この『当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い』という一文が2010年の改正により追加されました。
そして、最後は努めなければならないという文章で締めくくられています。つまり、
排出事業者が自分の目で処理業者を確認し、その判断に基づいて委託を行うよう努力して下さい
ということです。努めなければならないという努力義務なので、現地確認を行わなくても罰則はありません。
しかし、現地確認を行っていればメリットが大きいのです。
【メリット①】
書類上のみでは分からなかった違法が見える。
・処理業者の書類管理がずさんだった
・処理施設に廃棄物が溢れて処理が追いついていなかった
・実は処理方法に適していない廃棄物を受託していた
・ヘルメットを被っていないなど安全管理が出来ていなかったり、挨拶が出来ていない
等、実際に現地確認へ行けば処理業者の実状が見えてきます。
【メリット②】
排出事業者責任を果たしているとして罰則が免れる又は軽減される場合があります。
努力義務だからと現地確認を怠っていると、もし処理業者が不法投棄等をしていた場合、排出事業者責任を果たしていないとして行政命令の対象となります。
しかし、現地確認をきちんと行い、記録を残しておくと、排出事業者責任を果たしているとして行政命令が免れる又は軽減される場合があります。
このように、定期的に現地確認は行うようにしましょう。
実は義務の行政も?『条例による現地確認義務化』
廃棄物処理法では、現地確認は努力義務です。しかし、各行政によっては条例で義務化しています。
例えば愛知県は、2018年より排出事業者に対し、委託先の産業廃棄物処理業者の施設処理状況等を実地に調査することにより確認することを義務付けています。
そして愛知県は、現地確認を行っていなければ、勧告⇒公表するという規定も設けています。
このように独自に条例を設けている行政も多く、排出する場所の条例を確認するようにして下さい。
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